Ubisense UWB リアルタイム位置測位技術の仕組み

Ubisense Dimension4 UWBは、到着角(AoA: Angle of Arrival)と到着時間差(TDoA: Time Difference of Arrival)の2つの要素を同じシステムで測定できる技術です。

WiFi、BLE、RFIDなどのその他の無線通信規格、およびToFなどの他のUWB製品と比較して、優れた性能、精度、信頼性を提供します。

また、Ubisense SmartSpaceプラットフォームとの組み合わせにより、製造現場、物流施設、医療・福祉施設、エンターテイメント施設など、屋内での人や物の動きを正確に可視化し、分析することができます。障害物が多い場所でも利用することができ、屋内でのさまざまな用途に最適な技術です。

UWBとは何か 

UWBの仕組み 

UWBは「Ultra Wide Band(ウルトラワイドバンド)」の略称で、幅広い周波数帯を利用した無線通信規格です。3.4~4.8GHzのローバンドから7.25~10.25GHzのハイバンドまでの周波数帯を使用します。

もともとは軍事用のレーダー技術として研究されていましたが、2002年に米国で民生利用が開始されました。

多くの利点を持っているにもかかわらず、最近まで製品への採用例が限られていました。しかし、2019年にUWBの屋外使用が解禁され、同時期にiPhone 11がUWBを搭載したことから、注目を浴びるようになりました。

他の通信規約とはどう違うのか 

UWBは、超短パルスを連続的に発信することで、周波数帯域を大幅に広げます。そのため、非常に短いパルスを使って高速な通信が可能で、幅広い周波数帯を利用することで、精度の高い位置測位ができる特徴があります。

UWBは、従来の通信規格であるWiFiやBLE、RFIDと比較されることが多く、位置測位の精度、電波干渉、測位方法の3つの軸から整理して検討されます。

下の表では各通信規約を位置測位の観点から導入を検討する時に重要な、測位精度、電波干渉、測位方法の3つの軸から整理しました。 

UWB WiFi BLE (Bluetooth Low Energy)  RFID
測位精度 10~50cm  2~10m 数m 数m~10m
電波干渉 送信出力が極めて小さく、UWBハイバンド帯使用で電波干渉は生じ難い  他の無線機器との干渉の可能性あり 他の無線機器との干渉の可能性あり 他の無線機器との干渉の可能性あり
測位方法  ToF、TDoA、AoA方式などによる測位で高精度に位置検知  三辺測位や電波強度により位置測位を実現 どの受信機でビーコンを検知したのかというエリア検知が可能 一般的にはどのリーダでICタグを検知したのかというエリア検知 

位置測位でのUWBのメリット 

1.高精度な測位が可能 

BLEが複数の発信機を設置する必要があるのと違い、UWBは電波の届く時間を計測するため、設置台数が少なくても高精度な計測ができます。

2.低コストでの運用ができる 

UWBは短いパルス信号を使うため、バッテリーの寿命が長く、運用コストが削減できます。設備の初期コストは高くなる傾向がありますが、他の無線機器よりも長期的に費用がかかりません。

3. 他の無線との干渉が少ない 

UWBは広い帯域を使い、電波出力が弱く、また他の通信規格が使わない周波数を使っているため、他の無線通信との干渉が少なく、他のシステムに影響を与えることも少なくなります。

4. マルチパスに強い 

UWBは短いパルス波を使うため、マルチパスに強く、ビルや山などの反射物による電波の干渉が少なく、正確な測位ができます。

 

UWBに違いはあるのか 

UWBという技術にはどのような特徴があるのでしょうか?

Ubisense Dimension4 UWBは、到着角(AoA)と到着時間差(TDoA)の2つの軸を同じシステムで測定できます。このため、高い性能や精度、信頼性が実現できます。それぞれの特徴について詳しく説明します。

一般論としての電波を使用した測位

位置測位には、電波を使う方法があります。この方法では、送信機と受信機の距離や角度(方向)を測定して、その情報から位置を計算します。このとき、複数の受信機からの情報を参照しながら位置を決定します。

電波を使用した測位の概要解説イラスト

距離の測り方

無線周波数信号の属性を利用して、受信機に対する送信機の距離を決定するさまざまな方法があります。 

Ubisenseでは③Time Difference of Arrival(TDoA)を採用しており、バッテリー消費を抑えながら外的影響を低減し、正確な距離計測を可能にしています。

無線周波信号を用いた距離の測り方解説イラスト

角度の測定方法

無線周波数信号が送信機から受信機に到達する角度は、一次元または多次元で測定します。 

Ubisenseでは②2-Axis Angle of Arrival(2-Axis AoA)の多次元方式を採用しており、より正確な角度測定を実現しています。

無線周波数信号を用いた角度測定方法の解説イラスト

一般的なUWBとUbisense UWBの違い

他のUWB RTLSより取得できるデータ量が多い 

  • 同様のシステムより少ないセンサー数で3D位置測位を行い、より正確で精密な位置情報を、他の追随を許さない信頼性で提供します。

タグ送信機による双方向の計測が不要

  • 多量のタグを干渉なく同時に使用可能で、双方向計測が不要です。
  • タグの電池寿命が最大15年となり、電池交換のコスト・作業が削減できます。

エッジデータ処理による洗練されたセンサー設計

  • 千個以上のタグを同時に運用し、毎秒数千回の位置情報更新を行います。
  • 数千個のセンサーを24時間365日、10年以上の稼働実績を持っています。

屋外と屋内位置測位

屋内と屋外での位置測位には、異なる技術が必要です。

リアルタイム位置測位システム(RTLS)には、GPS衛星からの電波を使用する屋外位置測位と、GPS衛星からの電波が届かない屋内領域で使用される屋内位置測位があります。

屋外ではGPS衛星測位システムが使用され、電波を使って地球上の位置を特定することができます。この技術を使用することで、屋外の人や物の位置や動きについては比較的に精度よく取得することができます。

一方、屋内では、GPS技術では電波が届きにくく、位置測位の精度が大幅に低下します。そのため、目的に応じてWiFi、BLE、UWBなどの通信技術の製品を使用する必要があります。

屋内設置の課題

屋内での位置測位では、送信機と受信機の間の直接の信号が、信頼できる測定の基準になります。従来の無線周波数では、屋内環境での信号の反射によってダイレクトパス信号が歪んでしまいます。また、直進信号と反射信号が重なると、正確な位置を把握することが難しくなります。

UWBによる屋内測位

UWBは、信号のパルスが非常に短く、広い周波数帯域幅を使用するため、屋内測位に適しています。UWBのパルスは反射信号と重ならないため、直接経路の信号と反射信号の区別がつきやすく、正確な位置を把握することが容易になります。

UWBによる屋内測位の優位性解説イラスト

精度が高いUbisense UWBだからできること  

屋内では電波を遮る障害物が多く存在することもあるため、特にUbisense UWB技術がおすすめです。

屋内環境では信号が反射し、信号の歪みや直進信号と反射信号が重なるため正確な位置の把握が困難になるためです。

Ubisense UWB技術は、送信機と受信機の間の直接経路の信号だけが信頼できる測定の基準となるため、屋内環境での位置測位に適しています。 

Ubisense UWBが適している利用事例 

車両組立

車の組み立てでは、可変長ワークステーションを作成して、複数の製品バリエーションを同じ生産ラインで組み立てることができます。これにより、先行作業やタスク遅れの巻き返しが可能になり、製造ラインの停止を回避することができます。また、オーバーラップするワークステーションを作成することで、生産ラインの生産性を高めることができます。

在庫管理 

倉庫内の人やモノの位置や滞留時間をリアルタイムに可視化することで、現状や課題を把握することができます。これにより、在庫管理の改善策を実施することができます。

配車管理 

屋内と屋外の車庫全体の車両の正確な位置をリアルタイムで表示し、運転やメンテナンス、給油、清掃の作業員の検索時間を短縮することができます。また、入庫時のログ記録を自動的につけ、車両に最適な駐車場所を割り当てることができます。これにより、配車時間を短縮することができます。

ヘルスケア 

UWBを使って人やモノの位置や加速度を測定し、人の動作を分類することができます。これにより、転倒する可能性が高い人を予測し、予防措置を講じることができます。

エンターテイメント 

UWBを使って観客を魅了するサービスを生み出すことができます。例えば、ライブや演劇で演者の位置をトラッキングすることで、音の臨場感を高めることができます。また、エンタテインメント施設では、広い空間内でのゲストの位置をリアルタイムにトラッキングし、場所とゲストに応じた演出を行うことができます。